熊谷守一 美術館へ ❶| au musée Morikazu Kumagai

——東京。

雑司が谷で大学の同窓生と落ち合うことに。

蔵王のふもと、宮城の自宅を出る時には、土砂降りの雨。山は暗い雨雲にすっぽりと覆われ、お盆で帰ってきたご先祖様の霊がまるで別れ際を惜しんでえんえんと泣いているようだった。新幹線は大雨のため7分ほど遅れて進行していた。

それでも傘は持って行かなかった。近頃、習慣になりつつある「177」番で天気予報と風向きを確認していたので、(市外局番03+177)東京では雨が降らないと確信していたから。

 

新幹線を大宮で降り、湘南新宿線に乗り換える。もうここは、東北ではない。雨の気配はすっかり姿を消していた。

 

19時の集合まで時間がある。
久しぶりのひとりだけの時間。

母ではない、自分に戻る。

どうしよっか!?
どこ行こうっか!?

 

東京都写真美術館へ?
赤羽駅を通りすぎる頃に写美のホームページをチェック。

 

でもしっくりこなかった。

 

「写真」という芸術はどうやら写真だけ見ていては上達しない、というのを近々ものすごく感じてならない。

 

では、どうする!?

ふと、雑誌「母の友」を読んだ夜を思い出す。
とあるイラストレーターの方が熊谷守一美術館への訪問し、彼の世界へ心酔していたことを。

 

「いつか」行きたいと思っていた。

池袋から副都心線で1駅、要町にあるではないか!!
だから、今行かないでどうする!?!

 

パリに行っている間にできた副都心線。

急行に間違えて乗ってしまい、要町を通り越してしまう。再び「各駅停車」の池袋行きに乗り直して、ようやく最寄りの要町駅到着。
 2番出口を出て、しばらく歩くと美術館の看板が現れた。

つづく

〔前半終わり〕

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