10年愛| a decade story

東京にある展示を見にきた。そこでまた不思議な縁を感じている。
自分の欲や情念を超えて、これは誰かのためになる、そう強く念じると時間や空間を超えて、人につたわることを改めて確信した日だった。

 

 

それは『無印良品』有楽町店にあるATELIER MUJIにて開催中のフランスのさわって楽しむ読書室 展にまつわる10年の物語。

目の見えない子どもたちには自ら楽しめる絵本がない現状に愕然とし、養護学校の先生が立ち上げた小さな絵本工房。

その工房の名前はフランス語でレドアキレーヴといい、「夢見る指先」という意味をもつ。

2009年の『天然生活』でブルゴーニュのタランという小さな町にある絵本工房の特集記事の企画・構成・執筆・撮影を担当する幸運をいただいた。

 

この絵本に初めて触れたのは2008年のパリの児童書フェスティヴァルだった。すべて手作業による製本。そして、目の見える/見えないに関係なく、世界中の子どもが読めるのが特徴だ。

 

「こ、この素晴らしい本をつくった絵本工房を日本のたくさんの方々にも知ってほしい!」と強く思った。

 

当時、茅場町にあった#森岡書店の店主の森岡督行さんにご相談したところ、

『天然生活』の編集者さんをご紹介してくださった。そして編集者さんのご尽力によりとても素敵な紙面に。そうして、全国の読者の手元に渡った。

 

それから6年も経って、記事の担当編集者さんから私に1通のメールが届いた。

 

「今日、「無印良品」のキュレーターの方から連絡がありました。読者の中にこの記事を心から気に入ってくれて、雑誌をずっと保管してくださったらしいのです。いつか展覧会を実現したい。しかし、飼い猫が粗相をしたのでバックナンバーはありますか?という問い合わせでした」

 

そのあと、すぐにその方からご連絡をいただいた。「雑誌を読んで以来、いつか展覧会をやりたいと思って、ずっと温めていた企画です」というお話だった。

 

諸事情により計画は何度も頓挫しかけたが、その方は決して諦めず、そしてしなやかにこの展覧会を約10年がかりで

今季実現したのだという。

 

自分の欲や情念を超えて、これは誰かのためになる、

そう思うことが人を呼び寄せ、私自身の血となり、活動の源となっている。

 

期間 : 2018年6月29日(金)〜2018年9月2日(日) ※7月25日(水)は休館日です

 

 

 

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